2017年3月9日(木)、神戸市東灘区の日清製粉株式会社東灘工場にて、「工場見学等から学ぶ事業者の食品安全に関する取組とリスクコミュニケーション」が開催されました。このイベントは、消費者庁、兵庫県、大学生協関西北陸事業連合が主催し、株式会社日清製粉グループ本社、日清製粉株式会社、阪神サイロ株式会社、学生団体スマセレに協力いただき、次世代を担う大学生が工場見学等を通じ事業者の食品安全に関する取組を学ぶことで、大学生の食品安全に対する理解を深めるとともに、有識者、消費者、事業者、行政による双方向の意見交換を行うために開催されました。当日は、11大学から22名の学生、消費者庁、兵庫県、日清製粉グループ等から10名程度が参加しました。

記念写真

日精製粉株式会社東灘工場

 まず、消費者庁の石亀氏より開催の挨拶があり、その後、日清製粉(株)東灘工場 工場長の溝口義広様より工場に関する説明がありました。続いて、日清製粉東灘工場に関するDVDを視聴しました。安全な食品を提供するために、トレーサビリティにも力を入れ、製品ロットから原料の情報まで確実に追跡できるような体制を整えたり、国内製粉工場初の無窓化の実現や、工場内部の気圧をプラス圧に保つ「微陽圧システム」で粉塵等の侵入を防ぐ工夫を行ったりして衛生的な生産環境を確立しているという説明もありました。

工場の説明の様子

 次に、工場とサイロの見学を行いました。工場の見学では、商品の梱包をしている様子や梱包後の段ボールを立体倉庫に収納する様子、また、出荷される様子も観察できました。加工技術センターでは、ロール機や、シフター、ピュリファイヤーを見ました。ロール機は、一対のローラーの間に小麦粉を通して砕くための機械、シフターは、小麦粉の大きさごとにふるい分けるための機械、ピュリファイヤーは、シフターで分けきれないふすまを取り除くための機械です。胚乳とふすまの比重の違いを利用して、風の力で分離します。阪神サイロの見学では、船から直接大きなサイロへ小麦を移していると教えていただきました。

 その後、東京大学大学院農学生命科学研究科 特任教授(元内閣府食品安全委員会委員長)の熊谷進先生より、リスクアナリシスについて教えていただきました。安全とは科学的評価によって決定された客観的なものであり、信頼とは、消費者への情報提供や行政や事業者の誠実な取り組みによって得られるもので、安心とは、安全と信頼によって得られる消費者の心理的な主観的判断であり、安全と安心は異なるというお話しを聞きました。リスクアナリシスは、食べても安全かどうか調べて決めるリスク評価、食べても安全なようにルールを決めて、監視するリスク管理、消費者・事業者などの関係者全員が相互に理解を深め、意見交換を行うリスクコミュニケーションから成るということを教えていただきました。天然由来の食品がすべて安全というわけではないというお話しも聞きました。安全か危険かを判断するためには、その物質の量が問題であり、毒性の限界値を見極めることが重要であると聞きました。 続いて、消費者庁の石亀氏から、輸入食品監視指導計画に関する説明がありました。

熊谷先生のご講演

輸入食品監視指導計画の説明

 最後に、意見交換会を行いました。「国際規格を作る場合、発展途上の国や食品の安全や安心ということに無関心な国もあり、規格を作っても守らない国があると思いますが、その場合は罰則や対策などはありますか。」という学生の質問に対し、「例えばコーデックス規格を守っていない商品を日本に輸出したい場合、日本はその輸出を受け付けず、コーデックス規格を守れない根拠の提出を求めます。このように日本に輸出したいけど輸入してもらえないという状況が生じるので、それを罰則ととらえることもできるかもしれないです。」という返答がありました。

 今後は、くらしのヤングクリエーターとして、事業者と意見交換会ができる機会をつくり、事業者が食品の安全のために工夫している点を知ったり、食品を選ぶ目を養ったりする環境を整えていきたいです。