2017年11月25日(土) 姫路市北条の兵庫県姫路総合庁舎姫路職員福利センターにて、「あなたはそのまま食べますか?~美味しい情報の「実は…」~」を開催しました。このセミナーは、兵庫県中播磨消費生活創造センター学生実行委員会が主催し、大学生協関西北陸事業連合、全国大学生活協同組合連合会 関西北陸ブロック、学生団体スマセレが協力して、若者が消費者市民社会と食に関する知識を身につけ、食品を選ぶ際にかしこい選択ができるようになることを目的として開催しました。当日は、7大学から34名の大学生が参加しました。

 講演①は、兵庫大学健康科学部栄養マネジメント学科准教授嶋津裕子先生の「「消費者市民社会」とは?」でした。はじめに、消費者市民とは、「倫理、社会、経済、環境面を考慮して選択を行う個人」で、消費者市民社会とは、「消費者の選択を通じて人類全体、社会全体としての生活の質、幸せを実現する社会」であるという語句の説明がありました。消費者市民として行動できるようになるには、上記のように選択するためのスキルを身につけるための消費者教育を受けることが必要です。また、大学において、アクティブラーニングや課題解決型学習などを活用した消費者教育を行うことは社会人基礎力(職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的なチカラ)の養成につながります。消費者教育の例として、兵庫大学で嶋津先生が担当されている講義を取り上げ、講義の前後で学生の購買行動に対する意識の変化が見られたとのお話がありました。次に、MSC(海洋管理協議会)の認証を受けた飲食店などを例に、消費者市民社会を実現するために私たちができること、さらに消費者市民社会の実現には、関連している法や制度の整備と消費者教育の両方が必要であることを学び、理解を深めました。

センター長の開会あいさつ

嶋津先生の講演

 引き続き、嶋津裕子先生より、「あなたはそのまま食べますか?~美味しい情報の「実は…」~」というタイトルの講演②がありました。食の世界には誤った情報が溢れています。例えば、農薬は危ないのでオーガニック食品が安心だと思っている人がいますが、農薬を使用していないために寄生虫の問題があり、必ずしも安全とは言い切れません。おいしく健康的に食べるための知識を深める食育の取り組みは、消費者教育と密接な関係があります。また、「持続可能な社会の形成を目指す」という消費者教育の目的の1つは、食育における目的でもあります。食品を選択するための正しい知識と食品の安全性、食に関する課題を、身近な例をもとにした講演内容でした。食品を選択するための正しい知識として、具体的には、グルテンフリー、カロリーゼロ食品、栄養成分表示などについて学びました。インターネット上には、グルテンフリーがダイエットに有効で健康に良いという内容の記事がありますが、そのような効用の根拠は希薄です。飲料などに表示されているカロリーゼロは、一見すると健康的だと感じますが、カロリーがゼロと表示されているのは、砂糖の代わりに使用している人工甘味料の使用量が少ない、あるいはその人工甘味料は生物が利用できる物質ではないためです。→カロリーゼロの食品には、砂糖の代わりに、人口甘味料(化学合成された甘味物質)が用いられていて、例えば、体内に吸収されるが、使用料が少ない甘味物質や体内で利用できない甘味物質が使用されています。また、日本の食品表示基準に基づく栄養成分表示にでは、「無〇〇」や「〇〇ゼロ」、「ノン〇〇」という表示は、本当に全く入っていないわけではないので、カロリーゼロだからといって大量に飲んでしまうと、健康的ではありません。機能性の表示に関しては、保健機能食品のうち、特定保健用食品は消費者庁長官の認可を受けていますが、機能性表示食品はその認可がなく事業者の責任において表示されています。同じ保健機能食品でもそれぞれ特徴があります。このように、インターネットの情報と科学的根拠に基づく情報が異なる場合があったり、食品表示を誤って認識していたりするので、食品を選択するための正しい知識を身につけて情報を見極める力を持つことが重要であると分かりました。次に、食品の安全性について学びました。食品は必ずしも安全というわけではありません。例えば、栄養ドリンクに多く含まれているカフェインは小学生や中学生が飲むと脈が速くなるなど思わぬ影響を及ぼす恐れがあります。その他にも複数の食品の例から、食に100%の安全はないこと、栄養に偏りがあるのはよくないことを知りました。最後に、食に関連する課題として食品ロスのお話がありました。国内で年間捨てられる食品の量は、世界の食料援助量を上回っているほど多く、深刻な問題といえます。食品ロスの原因は、消費・賞味期限が切れてしまっていたことや購入後存在を忘れていたことなどが挙げられますが、これらは一手間加えるだけで減らすことができます。食料ロスを減らさなければならないという意識を持ち、法律と制度を上手に活用することが課題を解決することに繋がると認識できました。

続いて、株式会社ICB代表の瀧井智美氏にファシリテーターを務めていただき、ワークショップを行いました。良い選択をするためには、「知る」こと、「考える」こと、そして「行動する」ことが必要で、今回のセミナーでは、講演で「知る」、さらにワークショップで「考える」段階を経て、「行動する」に繋げるというものでした。まず、講演の感想や講演で気づいたことをグループで共有し、食に関して「理想の状態」と「避けたい状態」を個人およびグループで考えました。理想の状態としては、講演の内容と関連した栄養バランスの良い食事や3食とも食べることなどが多くのグループで共通して上がりました。一方、避けたい状態としては、主に食品ロスや朝食の欠食、偏食などが上がりました。その後「理想の状態にするために私たち大学生にできることは何か」をテーマに各グループで考えて発表しました。食事バランスには普段から気を遣う、食べ残しがないよう意識するなど、比較的行動に移しやすく課題の解決に直結したようなものもあれば、大学の学食やSNSを利用した問題の改善を図るものや大学の成績評価と結び付けたポイント制のセミナーなど画期的な意見も見られました。他にも、大学の学食で朝ごはんを提供するサービスを活かすなどの意見がありました。

イベントの様子

ワークショップの様子

参加者からは、「食に関することは取り組みやすく広めやすいと感じた。カフェインが良くない影響を与えることや東京オリンピックが背景となって機能性表示食品ができたことなど、他人に興味を持って聞いてもらえる話が多かった。」、「今までこのようなセミナーに参加することがなかった。機能性表示食品や栄養表示など、食の「実は」を知ることができてよかった。」、「初めてこのようなワークショップに参加した。初対面の人と意見を出し合うことは新鮮だった。」などの感想がありました。私も他の参加者と同様に、講演では初めて耳にした内容が多く、自分の食生活を見直す契機となりました。食品を購入する際さいには、今までは食品のイメージや食品に対する曖昧な認識をもとに選択していましたが、今後は今回学んだことを日常の選択に活かしたり、食に対する理解をさらに深めたりしたいと思います。ワークショップを行うことで、学生が食に関する問題を多く抱えていること、それらの問題が似通っていることに気づきました。それらの問題を解決するには何が有効かグループで議論するだけでなく、考えた解決方法を私自身が実践し、さらに同様の問題を抱えている周囲がその問題を解決できるように、学んだことや考えたことを広めていきたいと思いました。

発表の様子

集合写真